GEROPPAには、2つ違いの妹がおりまして、コレが読んでた「マーガレット」よく盗み読みしてたもんです。
なかでも好きだったのが岩館真理子が描く、どこか「ぽぉ~っ」としたヒロインが主人公の「ふくれっつらのプリンセス」や「ガラスの花束にして」「チャイ夢」なんかの作品。
この作品は、岩館真理子にしては、とても怖くて、そして大好きな作品です。
集英社
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初めて心うたれた本
最高の岩館作品
岩館真理子にハマるきっかけ
5年前、川べりの小屋を土砂崩れが襲い、中にいた女の子たちが亡くなった。
その事件の秘密を握るのは美名子とアリス。
両親を亡くした美名子は、事件で死んだ江利子の家に引き取られている。そしてアリスは美しくわがままで、皆があこがれる、女王様のような女の子。
事件の真相はいったいどんなものだったのか。初めて会ったときからずっとアリスにこだわりつづけてきた美名子。実はアリスのほうも同様だった。
二人の少女の思惑がからみあい、ぶつかりあい、恐ろしくも美しい物語が展開されます。
人は、多少はあるにせよ、誰にも言えない秘密や、そして罪を背負って生きています。
あまりにも罪深いことを長いことやってると、その罪の重さに耐えかねて、罪に対する感性を分厚いふたで覆い、罪を罪とも思わない大悪党に変わったりするもんです。官僚、大企業のトップ、ヤクザなんてのが、しょっちゅうつるんでるのは、このへんのシンパシーが共鳴しあってるんでしょうね。
少女というものは、少女であるとき、ほかの誰よりも罪を背負い感じているのではないでしょうか。少女の存在自体が罪であるといっても間違いじゃない。
アリスの美しさは、美名子にとって、大変な罪だったのです。
美名子は、アリスの罪に対し罰を与えようとし、そして自ら罪を犯した。アリスは自分の罪を知り、美名子の罪を自分の罪とすることにより、免罪されようとしたのかも知れません。
しかし物語はそれだけでは、終わらなかった。
美名子は自身の罪を認め、共犯者であるということで、危うくも強く結ばれていた二人の関係は、バランスを失い、そしてアリスは・・・。
絵がとても印象的で、胸に花をたたえ、冷たい水面を静かに流れるアリスの姿がとても美しく、まるでミレイのオフィーリアのようです。