庭のさくらんぼの花が開いていた。
差し込む光があたたかい。春なんだなぁと納得。
昨日の酒が少し残っていたので道後「椿の湯」でひと風呂あびることにする。
ダイエーコーノの屋上にクルマを止め、裏通りを抜けて椿湯までの道のりを歩いていると、途中の消防署から大きな声が響いてくる。通りかかると10代なんだろうか?まだ幼さののこる消防士2人が先輩消防士の指導を受けながら、ハシゴを使う訓練をしているようだ。
金属パイプで組まれた二段伸縮式の大きなハシゴを「下ろせ」「反転」「ボルト締めよし」など一つひとつの動作を口にだして何度も繰り返している。
か なり大きいものだからこのハシゴは2人で使うものなのだろう、何度も何度も標準動作を訓練して動作を合わせておかないと、一分一秒をあらそう救助現場では 命取りになることがあるから訓練も真剣だ。彼らはいつか実際の火災現場でこのハシゴを使って自分が被災者を救助する想像しているのだろうな。ヘルメットの 下から防火服の上に落ちた汗が朝日を受け光っている。
風呂へ着くと商店街のアーケードの向こう側、道後温泉本館の前が賑わっている。月曜日の春分の日を含む3連休の観光客と、昨日から3日間で行われている道後温泉まつりの人出だろう。日本最古の温泉と言われる過去3千年の長い間に何度か地震の影響などで湯が出なくなった事があり、それ以来この時期に毎年祈祷が行われているそうだ。
3年前まで、この近くの道後保育園に5年の間毎朝息子を送っていっていた。祝谷から松山神社の参道を道後へ向かって下り、鷺谷の旅館街のゆるく曲がりながら上って下る坂を抜け、温泉本館の裏を通って伊伊佐爾波神社の鳥居を過ぎるて左に折れると保育園に着くという道程。
毎日のことながら、観光バスの旅行グループの団体名のおかしさに笑ったり、ホテル花ゆずきの女将さんの毒々しい派手な洋服に期待したり、また季節とともに移り変わる町並みの様子や温泉客の装いを見るのが好きだった。
毎年ちょうど今頃は、温泉本館の壁や塀に、桜の造花と紫や赤の短冊の色鮮やかな飾りや紅白の幕、祭りののぼりなどが施され、それを見て春の訪れを感じていたことを思い出す。
「椿の湯」は日曜日だからか朝から客が多い。
ここは道後温泉の別館ということで道後温泉本館と同じ湯が使われている。
温度が熱くて湯上りがスッキリするので、ここに来るのは朝か、夜に出かける前と決めている。季節だと春から夏がいい。湯に浸かって高い天井を見上げると、明り採りの窓から朝の日差しが湯気を照らしている。
1400年の昔、この湯に浸りながら聖徳太子が「和を以って貴となし・・・」などと考えたのかな、と思うと何かよい考えが出来る気になるのだ。
ということで心身ともにリフレッシュしてから出勤し会議用資料を作る。
春だからってボーっとしてるヒマはないのだ。